Ken's Caf'e

気ままにAdaltyなことを綴りたくて……
 海が見える
 2009年01月11日 (日) 18:33:51

1
新聞をみたら青森は大雪なのだという。
青森…青森…かぁ
僕は妻の故郷である西津軽の
夕陽の綺麗な海を思い浮かべた。

2
ごぉ〜っという風音とともに目がさめる。
格子の襖の窓をあけると二重サッシ。
サッシは曇りほとんど外が見えない。
はっ……って息をはくと
まるで煙りのように天井に昇って消えた。
寒い……。
時計は朝の6時になろうとしてた。

3
裸の乳房をゆっくり揉んで軽く吸った
うう…ん…といって
ペニスをずっと握ってた手に力が入ったが
また…ぬけた
彼女は深い眠りの中だ
彼女の頬に唇をふれると
くるりとカラダの向きをかえて向こうを向いた。
布団をあげると綺麗な白いバイオリンが横たわってた。
僕はまだ深くねむる妻を横目に
そっと抜け出し
畳に散らかった下着やら服を粋一気に身につけた。
ピンクのシルクのパンティが足元にあった。
それを拾って匂いを嗅いだ。
彼女の匂いがして僕は微笑んだ。
そして枕元に置いた。
寒い……。

半纏を着て冷えた真っ暗な階段を降りる。
居間の電気がついている。
部屋のちょうど真ん中のあたりにストーブがある。
そして象さんのような薪ストーブがこうこうと燃えていた。
上にはやかんと鍋がのせてあってやかんからは湯気が出ていた。
襖をあけると…もわっ!として
暖かな熱気が顔をくすぐった。
別世界の温かさだ。

ばたん!と背中で音がして振り向くと便所から義兄の高雄がでてきた。
「おはようございます」震えながら僕は言う。
「おおっ!おぎだが」下がり太眉の笑顔が言う。
高雄は8人兄妹の長男で
今は実家の家をひとりで守ってる。
僕はことのほかこの長兄が大好きだ。
むかしから出稼ぎしながら頑張ってたが
仕送りしてた全財産を悪妻が全部持ってひとり息子と共に家を出てしまった。
そしてが離婚した。
今はたった一人で家を守ってる。

働きづくめで気がついたら家庭も失くし父母まで亡くしたのに
大変だったろうアル中も克服し
酒をコーヒーにかえて
ひとりで家を守ってる。
凄いなあ…っていつも思う。

アル中だった頃は長兄のことを
みんなよくは思ってなかったかもしれないけれど
僕は長兄の破れるような満面の笑顔が好きだった。
長兄はバリバリの津軽弁で口下手か
夏に兄妹が集まっても言葉は少なく隅っこにいるような感じだった。
電話も苦手らしく
誰かが取った電話で相手が知ってる人じゃないと電話口に出ようとしない。

未だに僕は津軽弁は殆どわからないが
僕が酒を飲んで長兄と話すとフィーリングっていうのか
不思議と長兄の言ってることがわかる。
ほんとに不思議だ方言を飛び越えて長兄の言ってる事がわかるんだ。
長兄は
カラダは細いが頑丈だ!
まるで鋼のようだ!
カラダも顔もお父さんそっくりの海の男だ!
下手な料理は女よりも上手い。
いわゆる漁師料理だ。

4
冬。
実の兄妹達が帰らない極寒の冬。
僕は青森に帰るのが好きだ。
帰るだけでほぼ一日がかりの旅だが
東能代からローカルな五能線に乗り海側の席に座って
時にはにごり酒の「ぬくだまる」を煽りながら帰るのが好きだ。
一度帰ったら足もないし
寒くて何処へも行けないけれど
この家には長兄がいる。
あったかい長兄がいる。
それだけでいい。
それと近所にすむ親戚たちに会うのも楽しみなのだ。

トイレを出た洗面台で手を洗ってる。
「この時間いるってことは…今日…海だめなんだ?」と僕。
「まいね〜…このシケだもの…年内はおわり…」と長兄。
「ふ〜ん…そんな気はしてたけど」
「あれは?」
「まだ寝てる」
「あははは…しゃあねえなあ」
僕は白いバイオリンみたいな裸体を思い出してた。

玄関で防寒靴を借りて外に出る。
ごおぉ〜〜〜〜!
電線が風を切ってる。
目に入る景色は真っ白だった。
でも…そんなに積ってるわけじゃない。ゆっくり雲が流れてる。
太陽は山から昇り海に沈む。
その太陽も今は見えない。
少しだが吹雪いてる。

kcf090111hmu1.jpg

空は鉛色。
庭先ほどににある五能線の駅にむかう。
駅は無人。
待ち合い室に入る。
小さな待ち合い室には誰もいないけれど
赤々とストーブが燃えていた。
壁には幼稚園児たちが書いた絵が貼ってあった。
時刻表をみる。
次の電車まで1時間以上ある。
ってか一日8本くらいしかなかった。

外のホームに出て海を見る。
目の前はまるで映画館のスクリーンのように180度パノラマが広がってる。
東映映画のオープニングよりも荒れ狂う海。
海の色は
まるでクリームソーダのような淡いグリーン。
それがシベリアおろしを伴って美しく荒れ狂う。
「ばかじゃないの!こんな寒いのに」
妻は言うけれど
僕は冬のこの景色が好きだ。
粉雪も吹付けて
息ができないくらいに肺まで凍えそうだけど
僕は
冬のこの景色がすきだ。

線路の下の長兄の小さな段々畑を横目に
村の港まで下りてみた。
海の荒れ狂う音がだんだん近づいてきた。

5
夕べの記憶が甦る。
「寒い…そっちにいっていい?」妻が言った。
「うん」
僕は布団をあける
素早く彼女は僕の布団にはいって抱きついてきた。
自然に唇が重なって
吸いあい舌が絡みはじめた。
みるみる服が脱がれぬがされ布団の外の畳に散らばってゆく。
そして二人は裸になって絡み合ってる。

2階は長兄夫婦の部屋だった以外は
夏は襖を全部外して旅館の大宴会場状態のように広いが
冬は襖を入れいくつかの部屋に区切られている。
僕らはいつも一番奥の部屋に寝泊まりしていた。
窓の外はひゅう〜〜〜!という風の音と
時折通る車の音そして吹雪きの音が交互にやってくる。

布団に潜って
お互いがたっぶり舐めあい濡れてるころ
カラダは熱くなっていた。
「きて…」
蚊の鳴くような艶っぽい声が耳をくすぐる。
彼女は腿を広げる。
ペニスを添える。
彼女が導く。
先端がぬるみに覆われる。
彼女が手を離す。
彼女の入口がわかった。
腰をおもいっきり突く。
「ああああああ〜〜!」
彼女のカラダが反って乳首が天井を向くくらいになった。
たぶん…先端が膣にめり込んでいるように感じた。
にゅるん!となってみるみる根元まで入った。
唇を吸いあい。
彼女が腰を上下にしてピストンをねだる。
ゆっくりうごかす。
あああああああ……
彼女の手が背中にくい込む。
「声をだしなよ…誰にも聞こえやしないよ」
「ばか…」
唇を重ねる。
そういって僕の腰に足を絡ませた。
ねちょねちょ…布団の中で音がしてる。
すえた匂いも
Sexの匂いだ。
両肘を彼女の両側について体制を整えた。
腰だけを激しく動かして
ときおり
僕はぐっと…

彼女の喘ぎと泣き声は
吹雪の音にかき消されていった。
そしてふたりの吐く息だけが真っ白だった。

6
防波堤で吹雪の中
釣をしてる人達がいた。
釣は入れ食いのようで足元に釣った魚をおいて
また海に竿をほおってる。
釣りボンクラな僕には魚の名前もわからないが
僕もしてみたいとおもった。
ぐるり湾内を見渡して
はじめて此処へ着た時の事をおもいだした。

そう…
あれは何年前になるのだろう…
行合崎に黄色いニッコウキスゲが満開になるころだったから
7月の上旬だったろうか。

kcf090111hmi2.jpg

あの日
僕は今とおんなじ防波堤を歩いてた。
船着き場のテントには
妻のお父さんや親戚がウニ漁の最盛期で忙しく身剥きをしていた。

「お嬢さんをください…」それを言いに来たのだった。
しばらくすると防波堤のむこうから彼女が小走りにむかってくる。
そして僕の前にくると
これ…って両手を差し出した
「これでも飲んでなさいって!お父さん」
左手には缶ビール
右手には名前もしらない大きな葉とその上には
まだ動いてるウニが…その中にはいっぱいのウニの身がはいってた。
「ごめん…もうちょっと待ってて」
そういうと彼女はテントに戻っていった。
僕は
防波堤の先っちょに座ってウニを指ですくって食べた。
指にすくった黄色いウニはまるでアイスクリームのようにとけてゆく。
口に入れる何とも言えない風味が口に広がって鼻からぬけていった。
「う…まい」
なんてうまいんだろう!
妻が寿司屋でウニを食べない気持がわかった。
高級な寿司屋のウニでもこんな美味しい味はしなかったからだ。
ほんとうは苦手だったウニがことのほか美味しく感じた。

日本海から初夏の風が吹いて僕はこの村が好きになった。
ふと波間をみると青い海は底まで透けていて
無数の魚が手の届きそうな泳いていた。
夏の海か…
その景色は遥か昔夢で見た景色だったのかもしれない。

7
はっ……
海猫(ごめ)が目の前を飛んでいった。
まさに猫のように鳴きながら。

港は真っ白だった。
お父さんの舟もまだ陸に上がったままだが
そのままあった。
あの時とおなじように
防波堤の釣り人の釣果は足元に転がる魚の数で一目瞭然だった。
波間をみた。
荒れ狂っているけれど
やっぱり海は青く透けていて海藻やらが波の流れにあわせて揺れていた。
夏の海とは明らかに違うのだけれど何処かほっとする海の色だ。
先程釣ったであろう足元の魚はみるみる凍っていった。

8
「ばかじゃないの!こんな寒いのに」
帰るなり妻が言った。
床の漬け物樽から漬け物を取り出そうと屈んだニットが上がって
ウェストにピンクのパンティのジャギーが見えた。

僕は台所からコーヒーカップを出して
インスタントをスプーンで1.5杯いれて
居間にはいって象さんのストーブの前にすわった。
長兄はコーヒーをのみながらテレビをみてた。
「港…おりでだのが?」
「うん…荒れてた」
「んだが…」
僕はチンチン!と湯気の吹き出るやかんをとって
カップに注いだ。
コーヒーをのんだ。
うまい…

ストーブの口をあけて1/4にカットされた薪を追加した。
口の開閉で勢いを調整した。
「ナマコ…つくってるから」
台所の妻が言う。
ナマコ…か。
おかあさんが作ってくれた大好きな料理だ。
酢加減がおかあさんは絶妙だった。
「イカの沖漬けたべるよね?」
そう言った時
ぼぉ〜〜ん!となって
何時の間にか来てた下りの電車が家の横を通っていった。

9
あ〜あ…
もう何年も帰ってないなあ…
青森は…大雪か。
吹雪いてるだろうなあ。

窓から
午後の温かい陽射しが差し込んで
座椅子を倒して眠る
妻の頬を染めていた。
唇がオレンジに染まってる。
とても艶っぽく見えた。
窓の下には山茶花の垣根が狂い咲きのように赤く染まってた。
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